プライベートバンク

スイスのプライベートバンクを活用して日本の高い税金から逃れられるか?

私がまだ金融機関で最前線の営業として活動していた頃の話です。

富裕層や資産家の方とお話をしていて気づいたのは、あまり積極的な運用をしてまで資産を増やしたいと考えていない、ということ。

 

仲良くしてもらっている事業家の方が雑談の中で

「お金は普通に暮らしていたら死ぬまでに十分足りる。だから危ない橋を渡ってまでもう増やしたいとは思わない。

それよりも持っているものを子や孫に残したい。

税金は今まで事業で散々払ってきたので、譲り受ける時にまで税金で毟られるのは嫌だ」と仰っていたのを鮮明に覚えています。

 

このことから分かるように資産家や富裕層ほど税金に対してはシビアに考えています。

因みに2015年には相続税の強化で基礎控除額が「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に変更になり約4割もの金額が削減され、最高税率も50%から55%に上がりました。

また周知のとおりですが年収4,000万円を超える世帯であれば住民税と所得税で55%が税金で徴収されます。

日本の資産家を追い詰める税制に関して今回はお話したいと思います。

 

〈日本の高い税制から逃れられるのは可能か?〉

 

もともと高い所得税に加えて相続税まで上がるのであれば…

と考えて海外に資産を移す「資産移転」を検討した富裕層も少なくありません。

 

しかし国税は事前に2012年時点の法改正で「国外財産調書制度」を制定していました。

この制度は国外に所有する財産が5,000万円以上ある非永住者以外の居住者に対して、その資産の種類と金額を税務当局に申告することを義務付けるものです。

 

因みに国税庁のHPによると所得税法における居住者と非永住者の定義は以下のように記されています。

「居住者とは国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、非永住者とは、居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人」としています。

結論づけると日本国籍保有者で過去1年間、日本に生活の基盤があった人は対象となるというものです。

 

そして日本居住者の定義に合致すれば高い税金に追われること、更にカントリーリスクなどを考えてパーマネントトラベラー(終身旅行者)としての行き方を考える富裕層も増えてきました。

パーマネントトラベラーとは滞在日数がその国の税法上「居住者」になる前に転々と別の国に引っ越し一生旅行者として有り続けるライフスタイルのことです。

 

〈海外志向の富裕層を阻む課税の壁〉

ほかにも資産家や富裕層に関係の深い幾つかの税制に関して紹介します。

[出国税]

2015年に「出国税」の導入がされました。

これはパーマネントトラベラーや海外脱出を図る富裕層に対しての課税強化の一環であるといえるでしょう。

 

出国税の対象は海外に移住する人のうち、出国前の10年間、5年を超えて日本国内に居住していた人です。

その場合、所有する株式、社債、国際、地方債、ファンドへの出資持分、更には未決済のデリバティブのポジション等が合計1億円以上あれば、出国時点でその利益確定していなくても含み益に対して課税されるというものです

この制度は海外へ移住する場合だけではなく、国内に居住する日本人から外国に居住している子供や孫へ、贈与や相続によって株式の所有権などの移転があった場合にも適用されます。

資産を日本の外へ持ち出すことに対して、非常に厳しい目が向けられるようになりました。

 

[財産債務調書]

2016年には「財産債務明細書」から「財産債務調書」に変わって税務署に対して資産情報の透明化の圧力をかけられました。

この内容は年間所得が2,000万円超に加えて「その年の12月31日においてその価額の合計金額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する」要件に該当する人は預貯金や有価証券等の財産の種類や金額に加え、財産の所在、有価証券の銘柄を記載した調書を税務署へ提出しなければいけないというものです。

 

【一時期かなり流行った海外への資産移転の実態とは?】

 

これまで挙げたように度重なる税制の強化に嫌気を指す富裕層も少なくありません。

なかには「少しくらいなら…」と魔が差して脱税に着手してしまう会社経営者も実際にいます。

 

国内で不動産を購入しても登記簿謄本を調べればすぐに所有者がわかります。

同じく証券会社で株式や債権などを購入すれば投資家情報は金融機関経由で国税庁には筒抜けです。

国税局査察部、通称マルサの調査力には映画さながら目を見張るものがあり、国内で資産を隠すことは出来ません。

マルサは法人脱税業種として不動産業、建設業、クラブやバーに特には特に目を光らせ「売上除外」、「架空経費計上」、「在庫除外」に関して重点的にチェックしています。

 

焼却場のゴミまで調べるというのは映画の世界だけではなく実際に現場でも行われています。

一度マルサに目をつけられると隠し通すことはほぼ不可能だと思ったほうが良いでしょう。

 

…とすると

「それでは海外で資産形成をすれば国税庁も分からないのではないか?」

ということで2010~2011年頃はオフショア地域(香港やシンガポールなど)で銀行口座の開設がブームになりました。

 

そのブームに便乗して海外への資産を移す海外への「資産移転」に腰を上げた富裕層も少なくありません。

実際に日銀の統計(資金循環勘定「家計」)によると2000年の対外証券投資は6.3兆円・外貨預金は3.8兆円でしたが2010年のデータだとそれぞれ9兆円・5.4兆円にまで増加しており合算した日本の国外財産は10年間で42.5%増加しています。

 

現在においても日本国内のみでの資産運用や資産管理では満足できず、海外に目を向ける富裕層や投資家は年々増加傾向にあります。

 

〈海外資産に対する国税当局の態度とは?〉

その中で富裕層や資産家が現実的に気になるのは「海外税務の厳しさはどれほどのものなのか?」ということ。

実際のところ国外財産に対する税制というのは非常に曖昧でケースバイケースです。

 

税制が徐々に整いつつはある状態ですが分別しにくいことに関しては、国税庁の担当者の様々な解釈のもとで税制が運用されているのが実態です。

 

元国税庁職員で、税務調査対策専門税理士の松島洋氏も

「国外財産に関する税制は、税務署の担当者であっても、きちんと理解している者はほとんどいません。

たとえば正直に税務署に問合せをして、自らが所得税法上の非居住者であるとの回答を得た上で確定申告を行ったとしても、後に居住者と判断されて申告漏れを指定されるということは充分にありえるのです。」

と話しています。

 

 

ただ、国際税務に対しては様々な見方が交差する中、海外への資産移転が流行になった以降からは国税庁は海外資産にも目を向け、現地調査にも力を入れているのは揺るぎない事実です。

 

国税庁の中でも国際税務に詳しい職員を選抜してスイスや香港、シンガポール、ケイマン諸島などオフショアを中心に怪しいと思われるところには日本人現地駐在員がいます。

表向きの活動としては「諸外国の税務当局との連絡」としていますが、実際は日本人の海外資産に関する情報収集なども行っています。

 

ただ詳細の所在地や調査規模に関しては把握している者は少なく、元国税庁職員ですら実態がはっきりと分からないのが実際のところです。

私も独立系金融機関や投資顧問会社の数社から「どの様に日本人富裕層や資産家の情報収集をしているのか?」という問いに対して実際に聞いた回答ですが、有名なのは国税庁の海外駐在職員が現地の興信所(※)に日本人富裕層の情報を調査させているとのことです。

 

例えば香港には中国当局からの依頼で香港の銀行などにある中国本土の富裕層の資産を調べる特殊な調査会社が存在します。

彼らのネットワークを駆使すれば日本人の富裕層の個人情報を調べることも朝飯前だそうです。

日本国内でもターゲットを絞って調査をすることもあるとのことですが、海外では人の目を気にしなくて済む分大胆な行動に出る場合も少なく無いそうです。

※興信所:企業や個人の信用や所在、行動等について調査を行う民間の機関のこと。日本でも1900年(明治33年)には現在の帝国データバンクの前身となる帝国興信所が設立された。

国税庁の大胆な調査方法に比例するように世界の大きな流れとしては金融情報開示の方向に向かっています。

 

〈プライベートバンクの情報守秘性リスクは?〉

また、今まではスイスのプライベートバンクに口座開設をして情報守秘の盾を振りかざすことも有効かと一部の富裕層に考えられました。

ですが、スイスのプライベートバンクの情報守秘性神話も既に崩壊しています。

保有資産を隠せる時代も終わったようです。

合わせて読みたい▼

(ここで詳しく↓)

スイスの銀行やプライベートバンクの情報守秘リスクとは?

プライベートバンクを活用して日本の高い税金から逃れられるか?

 

プライベートバンクの情報守秘神話が崩壊した背景として大きな影響を及ぼすのがOECD租税条約の締結です。

既に107の国と地域で租税条約が既に締結されました。

 

この租税条約とは条約を締結している二国間において、情報提供の要請を受けた国は、例え銀行の守秘義務を定めていたとしても、それを理由に情報開示の協力を拒むことはできないというものです。

金融立国としての守秘義務を理由に租税条約締結を拒んでいた国や地域も、世界的な情報開示の流れに従わざるを得ず条約締結に踏み切りました。

 

ただ金融立国としてのプライドのあるスイスの伝統的プライベートバンクは「要請に応じるのは裁判所から令状が出た場合のみ」としています

この意思表示からは「流石スイスのプライベートバンクだ」と頼もしさを感じますが、安心し切るのも早計です。

 

実は日本と租税条約を締結している国や地域では、国税庁は現地の税務当局に依頼して、その税務当局を通じて金融機関などが保有する情報の公開を要請できることになっています。

いくら厳格な守秘義務がプライベートバンクに課せられているとはいえ、現地当局による情報提供の要請があればさすがに断ることは出来ないと思います。

実際に2018年9月から非居住者の金融口座の情報については各国の税務当局間で情報が自動交換される様になりオープンになりました。

 

【海外資産にまつわる世界の大きな流れとして…】

富裕層と国税庁との「税金」に対しての攻防が繰り広げられている中、スイスのプライベートバンクの情報守秘性を盾に資産保全を試みる富裕層も少なくありません。

しかし、これら法整備がある中でプライベートバンクがいくらプライドを持って情報守秘の態度を貫いても、大きな流れには徐々に逆らえなくなってきています。

 

日本人の個人の脱税容疑で海外の金融機関が情報開示をしたケースは今のところ例はありませんが、租税協定のもと自主的に相手国の納税義務者の情報を収集し、互いに交換し合うということは、あまり知られてはいませんが現在進行形で行われています。

現在アクションがなくても、摘発するには情報を精査する潜伏期間があります。

国外財産を所有していた場合、もしかすると自分が国税庁のターゲット対象となっている可能性も0とは言い切れません。

 

過去、実際にあったアメリカによるスイスUBSへの訴追問題など、日本でも同じような事があれば一発KOになってしまいます。

国税庁に悪質だと判断され重加算税となると前科もついてしまい社会的にも金銭的にも甚大なダメージを負い、それだけは絶対に避けなければいけません。

情報守秘に関する世界的な流れを考えると、これからは富裕層の資産を守る術としてはスイスのプライベートバンクでは力不足かもしれません。

合わせて読みたい▼

プライベートバンクが抱える4つの課題・デメリットとは?

〈資産保全の方法として注目されるキャプティブスキーム〉

富裕層の資産を守る為には、自社株保有比率が高い経営者には資産管理会社での節税、不動産の購入による資産圧縮、財団設立など他にも様々な手法が取られていますが、今後はより一層、資産を守る有効手段が求められます。

資産家や富裕層向けの資産に携わるサービスをしている金融機関の今後の至上命題は、金融と税務・法務を熟知しながら各専門家の知見を融和させて真っ向から柔軟な節税スキームを創出することです。

どの金融機関においても、なかなか難しい課題ですが大手よりもフットワークの効く独立系金融機関や投資顧問会社では既に様々なスキームが確立しています。

 

そして2017年1月のハワイ税制の変更に伴ってキャプティブが注目を集めています。

キャプティブは三菱重工や住友化学など大企業経営者しか知らないスキームでしたが、昨今では中小企業経営者からも関心が寄せられています。

経営メリットから採用している企業が多いですが、スキームを応用することで相続や贈与にも大きな効果を期待できます。

 

ただキャプティブは保険業や国際税務などの包括的かつ深い知識が必要なので提案できるバンカーは非常に限られています。

資産を守るということを念頭に置かれているのであれば情報収集しておいて損はないと思います。

大手プライベートバンクも「大企業病」を払拭し、機転よく対応しないと富裕層ビジネスの第二世代である独立系金融機関や投資顧問会社に取り残されてしまうことになるでしょう。

合わせて読みたい▼

キャプティブで節税をする前に知るべき実態と業界裏話とは?

キャプティブのメリットとデメリットや設立方法とは?

 

 

【プライベートバンクで口座開設する前に基本的な情報を理解しておくことが何よりも大切です】

実はわたくしは過去に運用でまとまった利益を作ることができました。

それを原資にして資産運用や資産保全に取り組むために、いくつかのプライベートバンクを比較したことがあります。

 

とはいうもののプライベートバンクも記事でも述べているとおり、ビジネスで運営しています。

幅広いサービスが確かに魅力的ではありましたが、友人からは「金融商品の営業が正直しつこいよ…」などとも聞きます。

ですのでプライベートバンクの少し情報を聞いただけで「何だか良さそう」という単純な理由だけで口座開設することはあまりおすすめしません。

 

プライベートバンクで安易に口座開設をする前に

・契約を考えているプライベートバンクのビジネスモデルがどうなっているのか?

・リスクやデメリットは何なのか?

・どういう仕組みになっているのか?などをきちんと理解することが大切です。

 

それらを理解せずに安易にプライベートバンキングサービスで口座開設をして

金融商品や不動産のセールスを必死にされるだけで「こんなはずじゃなかった」という人は少なくありません。

 

しかしプライベートバンク選びに失敗してしまう根本的な原因は、単純に良質な情報が少ないことが挙げられます。

要らぬ失敗をしないためにも必要なことは良質な情報を取ること、基本の理解が大事です。

 

因みにわたくしが現在、プライベートバンキングサービスとして利用しているのは「匠投資顧問株式会社」というところです。

ここは手数料形式が「ブローカーレッジモデル」という金融商品のセールスも全くなく、「フィーモデル」で同じ方向性を向くことが出来ること。

そして、販売会社ではなく完全に中立な立場で情報提供してくれることに加えて、海外の資産保全の情報なども提供してくれることが魅力で口座開設をしました。

 

ここのプライベートバンキングサービスをしている方が執筆した「減らさない投資で手堅く資産を増やしたい人のための資産形成5つのステップ」

というメルマガがあります。

 

資産形成を考えてプライベートバンクに口座を開設するのであれば

まずは事前に知識を入れてから検討されることをおすすめします。

業界の裏側を教えてくれているので参考にはなると思います。

 

わたくしはまだ40代の若造でプライベートバンクの知識が全くないところから個人的に色々とお世話になっています。

このサイトで紹介する許可を頂いたので、以下にリンクを貼り付けをしておきますので口座開設に着手される前に参考にしてみて下さい。

 

レポートはが執筆したものではなく、第三者機関の金融機関が発行したものですが無料で良質な情報なのでこれから検討をされる方には良いと思います。

本来は完全紹介制で登録者数に上限があるようなので情報を参考にするのであればお早めに

【推奨メルマガ(無料)】

 

【その案件は本当に大丈夫ですか?】

プライベートバンクで安易に口座開設をする前に必ず基本的なことの理解をしておくことをおすすめします。

なぜなら、プライベートバンクのスキームの構築が本当に最良のものかどうかが自身では気付きにくいからです。

過去には不動産会社と手数料のキックバックをする業務提携して、私欲で不動産をやたらセールスされたケースもあります。

 

もしも近くに詳しい方がおられない場合は、ご相談・お問い合せ頂いても構いません。

ただ、わたしも普段はサラリーマンをしているので返信に時間がかかる場合もあります。

ご了承をお願いします。

お問い合わせはこちらから

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